POLSのCreative DirectorとDesignを担当している梶原加奈子です。

POLSを運営している丸萬さんと2006年に出会い、そこからずっと様々な取り組みをしてきました。
目指す気持ちは1つ、西脇産地の未来を考えること、ものづくりの環境をこの地に残すこと。

テキスタイル生産の現場が国内から海外に移行していく中で、これから何を作り、何を社会に提供できるのか。
13年前から問い続け、駆け抜けていく中でも、まだまだ、もがき続けているように思います。

その中で、未来への架け橋をつくっていくためにスタートしたPOLSの仕事。

テキスタイルを取り扱う会社が製品を企画、生産、販売していくことは、けして簡単なことではなく、
新しい経験と柔軟に向き合い、多くの壁を乗り超えていく大変さがあります。
変化していくことに向き合い、未来に向かう意志を継続していければ、、という願いをもとに、
私はこのプロジェクトに「目指す光」の意味を込めてブランド名を北極星から導き「POLS」にしました。

ブランドを立ち上げた当初からPOLSのデザインで考えていることは、
「テキスタイルの楽しさ」を生み出すこと、伝えていくこと、感じてもらうこと。
私自身、テキスタイルの魅力にずっと刺激を受けていて、その楽しさを感じることが生きる原動力にもなっています。

衝撃を受けてワクワクする気持ち、
心地良い風合いから励まされる気持ち、
色の美しさから高揚する気持ち。。

いつも、テキスタイルって面白いね。と思います。
それは、つくっていく背景で、様々な人たちが関わり、
アイデアのバトンを渡すようにデザインが紡がれていくから。
心が紡がれていくから。

私は完璧なものよりも、関わる人たちの発想で変わっていくものに感動する。
最初の一歩はこうだったけど、ゴールはこんなものが出来た!!
という衝撃と過程を共感することが楽しいと思うから。

POLSのデザインで大切にしていること。
それは幾つかあります。

まずは「変化」をすること。

使い方によって、色や柄の組み合わせが何通りも生み出せて、
その時々のコーディネートの気分に添って、使う人自身がクリエーションできるモノを提案したいと思っています。
こんなことも出来ちゃうぞ!と変化を想像していくことはワクワクします。

「明るい」デザインを発信すること。

光を感じて心が動く。
そして内面から輝きだす。
デザインには心を元気にさせる役割があると思います。
日常には、悲しいこと、苦しいこと、
どうにもならないことを受け入れなければいけないときなど、沢山あると思います。
そんなとき、側にPOLSがあることで、気分が明るくなりますように、
元気な活力が湧いてきますように。
そんな想いを持って、POLSの色や柄を考えています。

「ミステリアス」を楽しむこと。

POLSのデザインで毎回挑戦していることは、ちょっと奇妙な感覚を注入すること。
謎や不思議を含めた空想的テーマを考え、
ミステリアスをキーワードに柄やテクスチャーを考えています。

ブランド立ち上げ当初から「昆虫」の擬態を深掘りしてリサーチすることからデザインのヒントを掴んでいますが、表面的なテクスチャーだけを見ているわけではありません。
ここには、
“もしもシリーズ”—昆虫の反逆心、自然を欺く日々—
のような、
進化を生き抜く強い昆虫の心理を想像してストーリーを作りあげ、ナチュラルとは反対の意外性をポップに表現しています。
昆虫という1つのテーマですが多面的に空想は広がりますので、これからの時代感を読みときながらデザインに展開していけると思います。

なぜこのような考え方を軸にしたかというと、

POLSは通常のファッションブランドのように商品が6ヶ月ごとに変わっていく方法をとっていません。
昔作ったモノもこれから作るモノも、同じように店頭に並びます。
そのため1つのテーマで世界観を統一させつつ、少しずつ新たな要素を加えて、連動性があるシリーズになるように心がけています。

また、私自身、デザインで一番刺激があることは、イノベーションです。
苦しい環境の中でこそ、予想外の発想が生まれる。
アイデアを絶え間なく発見するために、反逆のミステリアスをポジティブに捉えることがイノベーションの視点を生み出すと思います。
そんな風に昆虫も考えて生きる知恵を切磋琢磨しているかもしれない。と思うとなんだか同志のように愛情が湧いちゃいます。

これからのPOLSも、この3つの観点を軸にデザインが表現されていくだろうと思います。
どんな楽しみを見つけられるのか。
未来を明るく照らしていけるのか。
テキスタイルから生まれる色んな気持ちをPOLS制作チームで形にして皆さまの暮らしのなかに届けていきたいと思います。

2019年9月 梶原加奈子